スギ花粉症の治療
スギ花粉症
2019年の調査では、国民の3人に1人がスギ花粉症と推定されています。
毎年、スギ花粉が飛散する時期(2月下旬〜5月頃)に、くしゃみ・鼻水・鼻づまり、目のかゆみなどがある場合、スギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎(スギ花粉症)が疑われます。
さらに、血液中の「IgE」という免疫グロブリンの量を測定し、スギに対する値が高ければ、スギ花粉症と診断されます。
特異的IgE検査
特異的IgE検査には、View39、MAST48などがあります。
少量の血液から、それぞれ39項目、48項目へのアレルギーの有無を網羅的に調べることができます。
舌下免疫療法
舌下免疫療法(SLIT:sublingual immunotherapy)は、アレルギーの原因物質である「アレルゲン」に少しずつ体をならすことで症状緩和を目指す治療法です。減感作療法、アレルゲン免疫療法とも呼ばれます。
当クリニックでは、
- スギ花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)
- ダニアレルギー(通年性アレルギー性鼻炎)
に対する舌下免疫療法を行っております。
アレルギー性鼻炎の症状があり、スギやダニに対する特異的IgEの上昇が確認されていることが実施の条件となります。
治療薬について
スギ花粉症に対しては「シダキュア」、ダニアレルギーに対しては「ミティキュア」という薬を使用します。シダキュアは標準化スギ花粉エキス、ミティキュアはダニアレルゲンエキスです。
どちらも、舌の下に入れて1分間保持してから飲み込みます。
即効性はありませんが、毎日継続することで、スギ花粉やダニに対するアレルギー反応の改善が期待できます。
なお、スギ花粉症に対するシダキュアは、花粉の飛散時期には開始できません。そのため、計画的に治療していく必要があります。
治療のながれ
初回は院内で服用
舌下免疫療法では、頻度は低いながらも、薬剤に対する重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)が起きる場合があるため、薬をはじめて服用するときには院内での経過観察が必要とされています。
また、実施にあたり確認すべきこと、理解していただくことがあります。
治療期間が長期に及ぶため、継続する意思も重要になります。
当クリニックでは、以下の流れで舌下免疫療法を開始しております。
①スギ花粉症/ダニによるアレルギー性鼻炎の診断
②舌下免疫療法の適用判断、留意事項確認
③初回のみ院内で薬を服用後、30分間経過観察
定期通院
初回服用時に問題がなければ、2回目以降はご自宅で服用していただきます。
1週間後の診察で継続可能と思われれば、薬の量を増やし(錠数は1錠のままです)、定期的に経過を追います。
舌下免疫療法の治療期間は、3〜5年を目安とすることが推奨されています。即効性を期待して行うべきではないことを十分理解し、日々の内服をしっかり行う必要があります。